12.10.04.Thu  
もうスパーク目前…東5め52b「懸想区域」の新刊ですが、『あくまでおしごと』という24ページのヴィクトル本です。A5/コピー本/200円です。
初代デビサマ、ハッカーズ、ライドウの各主人公と業魔殿というかヴィクトルの話です。(ハッカーズはちょっとヴィクトル分弱いですが…。)
こんな感じの本。


ちょっと本文一部、続きにおいておきます。(サンプルはトップページ非表示にしとくので「→old」からログ参照で)
こんなかんじです。主人公名出るのでとりあえずそれぞれの扉に入れた。
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「あのさ、不老不死って、そんなに魅力的かな」
 やがて思い詰めるのをやめたように刀を鞘へ収めると、彼はこの業魔殿の主を振り返った。
 眼差しの透き通った様子に、ヴィクトルは後ろめたいこともないというのにギクリとするのを感じた。
 彼個人の人格と、元々のキョウジの人格はまるで違う。個として認識できているのに、姿形は未だ二人は一つのものだった。輪郭が重なって見え、影はひとつに見えるように、頭の中のイメージはまだ書き変わらない。この感覚は奇妙なことだった。ヴィクトルはあまり個人の印象やイメージを覚えぬようにしている。それは意図的な行動だ。
 もともと不死と生命の創造こそがヴィクトルの興味が行き着く先であり、悪魔合体を執り行うこの業魔殿は、サマナーのためでも、人類や悪魔のためでもない施設だ。結局はヴィクトル個人の興味を満たすための、実益と趣味を兼ね備えた、副次的なものに過ぎない。だからこそヴィクトルはその興味を満たす物が悪であるか善であるかもさして興味のあることではない。欲しいものをくれるものを選べるほど、その胸と脳髄の求める知識や情報、そしてそれをもたらす材料というものは豊富ではないのだ。それ故に誰にも肩入れをせぬようにと運営している部分がある。誰であっても拒まない。それが業魔殿であるのだ。
 しかし、サマナー個人に思い入れを抱かぬようにしていても、時折このようなサマナーが現れる。頭の中にぼんやりと浮かぶ幾人かのサマナー。長く時を生きるヴィクトルとは別に、もう既に死んで久しいものが多いが、どのような時代にもそういった人物はいるものだ。意識せずとも他人の記憶に入り込み、輝く星のように意識を引きつけるものは。
 まだ悪魔合体に手を染める前の、ヴィクトルが純粋な人間だったころにもいたのだ。その人物が生れ落ちると同時に得た魅力というものなのだろう。
 キョウジとはそれなりに長い付き合いだが、肉体の持ち主が変わってからは、とくにこのサマナーに意識が惹かれるようになった。つまりはそうした魅力というものは魂に紐づいたものなのだなと思え、大いに興味深いものだった。もちろん、肉体を失い、彷徨う本来のキョウジにも興味がないわけではない。葛葉との縁は長いが、未だその秘術については謎が多く、興味が尽きない。このところ姿をみていないが、肉体を取り替えて元気にやっているらしいと聞いて、ますます好奇心が尽きぬ一族であるなと思い直したところだ。
「葛葉は身体を取り替える術を持っているのだろう? そちらに聞いた方が早いのではないか?」
 オレも興味があるのだ。ヴィクトルは言外に言った。
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まぁ新刊はこのようなかんじですが、ご縁がありましたらよろしくおねがいします。


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