01. 告白 |
2007/11/07/07:50 |
言葉に、卓の向こうで忍びがわずかに眉を寄せた。しかしそれきり黙々と箸を進めるので、仕方なくこちらも倣い、茶碗を空にする。 |
*真田主従
|
02. 嘘 |
2007/11/08/17:28 |
逢引のようだねと言って、淡く笑う。月夜に浮かぶそれには後ろ暗さなど微塵もない。しかし感情もない。薄く睨みつければ、笑みさえ消えた。 |
*武田の忍びと独眼竜
|
03. 卒業 |
2007/11/10/19:11 |
にこりと笑って「おめでとう」と顏を合わせるなり言われたので、髪も服も色素の薄いその校医に卒業証書を筒ごと押しつけ、乱暴に息を奪った。 |
*現代パラレル。光秀保健医、政宗三年生。
|
04. 旅 |
2007/11/15/23:12 |
書き置きをして、己の右目が目を閉じたわずかな隙に城を出、馬を走らせる。立場など置き去りにしたこれは旅だと言い訳をして、向かうのは西だ。 |
*奥州筆頭
|
05. 学ぶ |
2007/11/19/10:04 |
記憶を引き出して身体を動かすと、空を切った獲物に目をみはる毛利が見えた。愉快なのでそのまま足をかけて身体を反転させ、地に組み伏せる。 |
*瀬戸内
|
06. 電車 |
2007/11/15/23:21 |
すれ違い様でさえ姿を見つける隻眼を呪えば、窓の向こう、さらに一枚挟んだ車両の中であちらも気づいたらしい。目が合い、唇だけで名前を呼ばれた。 |
*現代パラレル。光秀は保健医、政宗は生徒。
|
07. ペット |
2007/11/16/19:36 |
指を舐める獣に目を細めると、飼うのかと背後から問いが向けられた。「貴様で手一杯だ」と振り返れば、奴は「飼われていたんですか、私」とからから笑った。 |
*光秀を飼う元就
|
08. 癖 |
2007/11/19/09:57 |
骨の割れる音でようやく暴力が止む。手の甲で鼻血を拭い、口の中の血と唾液を無理に飲み込み、放心した主を慰めることなく忍びは消えた。 |
*戦の後のDV真田主従
|
09. おとな |
2007/11/14/21:56 |
眩暈も堪えて起き上がり、咎の無い保険医を睨みつけようとする瞼を指先で閉じさせ、指の代わりに唇を落とす。だが欲求で伸びてきた手からは逃れる。 |
*現代パラレル。光秀は保健医、政宗は生徒。
|
10. 食事 |
2007/11/23/18:59 |
顏を合わせるなり噛みつき、人の上へ跨がり、その浅ましさを隠しもしない光秀は、最後にねだる言葉よりよほど熱をこめて「戦がしたい」と呟いた。 |
*伊達×明智×伊達。戦がないときの光秀は空腹。
|
11. 本 |
2007/11/22/09:51 |
睨みつける隻眼を手で覆い、書物の海に溺れた幼い主を背負う。主はこちらの背にいくらでも積めばよい重荷を背負うからか、思いのほかずしりと重い。 |
*伊達主従幼少。
|
12. 夢 |
2007/11/22/10:02 |
寝転んだまま呆けていると、叔父が顔を覗き込んできて「飯だぞー」と言った。飲み込めずにぽかんとすると頭を撫でられ、それでようやく慶次は笑った。 |
*夢からなかなか覚めないタイプ。
|
13. 女と女 |
2007/11/18/21:22 |
兄の隣から向けられる視線がある。だが照準を合わすようなその視線を見返すことができず、お市はいつも俯いて、視線がそれることを待つ。 |
*お市と濃姫
|
14. 手紙 |
2007/11/22/10:10 |
文だけならば良識も学もある真っ当な人物だ。無礼を承知で別人のようだと文に書き添えれば、しかし返答は達筆な文ではなく肉声で返ることになった。 |
*政宗と光秀
|
15. 信仰 |
2007/11/13/00:50 |
覗き込んだところで鯉もいない水面に左から右、上から下へと十字を切るので何のまじないか問えば「祈りですよ」と男は似合わぬ穏やかな顔をする。 |
*光秀キリシタン説から派生妄想。
|
16. 遊び |
2007/11/19/10:08 |
煙管の管をあてられて怯むと、それは嗤った。火遊びは火事のもとだと睨み返せば、やはり笑い、己の冷えた指先で与えた熱を奪うように痕を撫でた。 |
*伊達×佐助
|
17. 初体験 |
2007/11/25/12:36 |
神妙な顏で膝をつきあわせ、互いに顏をあげれば目が合い、相手の顏が耳まで赤いことを互いに笑い、それからようやく、灯りを落とした。 |
*真田主従
|
18. 仕事 |
2007/11/11/19:36 |
刃が撫で切るように喉首を裂いて血を舐めれば、ようやく身体が動き出す。無意識下にぐんと変速する反応速度に、唇が歪む。 |
*佐助
|
19. 化粧 |
2007/11/09/08:25 |
塗料に浸した指の震えを堪えて、彼の顏を彩る。終えて息を吐けば、伏せられた赤い睫毛も同じように震えを堪えていたようで、息が重なった。 |
*戦化粧で昂る真田主従
|
20. 怒り |
2007/11/07/21:32 |
見開かれた瞳と押し殺すような声のどちらからも、向けられる感情はただただ白い。不浄なものすべてを焼き払う、炎のような強い、白だ。 |
*怒る幸村
|
21. 神秘 |
2007/11/24/18:53 |
存在しないと言い切った南蛮商人の顏が思い浮かぶが、確かに目の前で舞い散った花びらは己の戦装束と同様に蒼い。口笛を吹けば、軍神は楽しそうに微笑んだ。 |
*軍神の青薔薇
|
22. 噂 |
2007/11/19/10:00 |
探る視線を一直線に見返せば、知らぬうちに上がった口角を指摘される。確認に己の口元を押さえれば手を取られ、「吐けよ」と噛み付かれた。 |
*蛇と竜
|
23. 彼と彼女 |
2007/11/14/23:53 |
肌も露に戦場を舞う蝶へ一瞥も向けぬ頑なさを笑うと、殺気を浴びた。思わず非礼を詫びたが、それさえ知らぬそぶりで彼の銃口は蝶の背後を狙い撃った。 |
*光秀からみた織田夫婦
|
24. 悲しみ |
2007/11/14/22:16 |
肌を濡らす血の温さを振り払い、駆け戻れば主は顔を青ざめた。それで自分の惨状に気づき退座しようとすれば、清浄な御手が穢れたこの腕を捕らえた。 |
*上杉主従
|
25. 生 |
2007/11/09/11:04 |
ふと瞬きをして見渡せば、もう周囲に息のあるものはない。目をみはり、夢のようにそれを認識すれば笑みと感謝が口から零れた。「ごちそうさまです」 |
*光秀戦闘後
|
26. 死 |
2007/11/11/19:43 |
見渡すかぎりの空白に裸足で踏み出せば、足が川に浸り、袴の裾が濡れて重いと気づく。首を傾げると「いけねぇ御方だ」と声があり、目が覚めた。 |
*光秀の臨死体験
|
27. 芝居 |
2007/11/25/16:48 |
とんだ茶番だなと呟いてぽとりと涙を零す。そうして政宗はただ一人、奥州筆頭ではないただの伊達政宗として、六刃で貫いた男の名を呼んだ。 |
*伊達と明智
|
28. 体 |
2007/11/16/17:50 |
互いの身体が分かれているので、仕方なく幸村は留めるように指を絡めて佐助の手を繋ぐ。しかし指が溶け合うことは無く、朝まで手がある試しはない。 |
*幸村×佐助
|
29. 感謝 |
2007/11/25/18:42 |
団子を分ければ、なにやら神妙な顏で「ありがたく」と言われ、思わずため息が漏れた。「感謝なら普段からしてちょーだい」 |
*真田主従
|
30. イベント |
2007/11/25/18:27 |
信玄の横で呆れたというようなことを言っていた佐助だが、しかし盗み見れば狐面の下に隠れた瞳は楽しげに主人を追っている。 |
*武田漢祭フライング妄想
|
31. やわらかさ |
2007/11/25/17:06 |
普段は俺を乱雑に扱う手が痛ましげに傷へと触れ、白い指先が赤く濡れるので顏をあげると、どうしたことか忍びの顏は感情が隠れていない。 |
*真田主従
|
32. 痛み |
2007/11/07/21:20 |
まるで知らぬ他人だと言われるようなので、幾度か叱った。しかしそれでも「長政さま、」と呼び掛ける声はやはり弱い。 |
*浅井夫婦
|
33. 好き |
2007/11/13/21:54 |
組み敷かれて文句のひとつも言わぬ忍びの肌にいくつも残る傷跡を、薄く開いた唇で息と混ぜてなぞり、汗がにじみ始めた体がさらに熱を帯びるように唾液を塗りこむ。 |
*幸村×佐助
|
34. 今昔(いまむかし) |
2007/11/22/09:25 |
頭二つ分は低かったはずの背がとうとう自分の背を抜かんとしている。「抜かすぞ」と宣言する笑顔はまぶしいばかりで変わらないというのに。 |
*真田主従
|
35. 渇き |
2007/11/24/22:32 |
武士という生き物の雄叫びは飢餓と歓喜で、魂を現すように燃え盛る矛先は命を奪う躊躇を知らぬ。昂揚する主人の熱を肌で感じ、時折忍びはそれを思い知る。 |
*真田主従
|
36. 浪漫 |
2007/11/25/16:58 |
傾国の結晶である巨大からくりをまるで生き物のようにうっとり撫でながらもそれを「兵器」と言い切る右瞳は怖気がするほど童のように美しい。 |
*ロマンと言われちゃ巨大メカしか出て来ない
|
37. 季節 |
2007/11/25/09:03 |
はじめは上田が白く染まったころで、ぽつりと零れた名を耳聡く拾い、かぁと姿を現したそれは、来るはずもない主人を待ち、今も炎のように色づいた庭にいる。 |
*佐助が没した後、幸村の庭
|
38. 別れ |
2007/11/12/20:37 |
隻眼を見上げ「泣き鬼か」と元就が囁くので、元親は涙に濡れた睫毛をぱちりとやって、元就の肺を肋ごと潰すように貫いた槍を無造作に引き抜いた。 |
*瀬戸内決戦
|
39. 欲 |
2007/11/18/21:34 |
橙髪の忍びはまさしく影で、幸村が燃えるほどに比例して色濃く闇を撒いていく。引き剥がしてぇな、と唇を舐める。 |
*対のものを破壊してまわりたい奥州筆頭
|
40. 贈り物 |
2007/11/24/22:43 |
輪刀を構えれば、贈り主はくくと喉を鳴らした。「それで俺を殺すか?」しかし答えずに視線だけ向けると、男は異人めいた隻眼で「嬉しいねぇ」と槍を担いだ。 |
*瀬戸内。どうにも毛利の輪刀がからくりぽいので……と…。
|
<<return.
|