隠しもしない
「あんたの装束は、ちと趣味が良すぎるんじゃねぇのか――」
 政宗はそんなことを言った。
 上半身を拘束するように幾重も素肌へと巻かれた革紐は、光秀の色の白い事を強調するばかりで何の効力も持っていない。それどころか、身動きをする都度、肌が擦れてしまいそうでさえあった――だが、その青白い肌が擦れて赤くなるのを想像するのは、悪くない。少なくとも政宗はそのように思った。
 それ以外のなにも身に着けぬ上半身をさらした光秀の姿は、気がふれているのが明らかなように見える。政宗も、そのような格好はしたくはない。だが、いっそ浅ましいほどの露出は、嗜虐心から見れば十分にそそられるものだった。
「あんた、ほんとに命が惜しくねぇんだな」
 政宗はそれが羨ましいようにさえ言ったが、対照的に肌の露出が少ない。それは防寒のためでも、自衛のためでもあった――光秀と違い、政宗は自身の命が一人だけのものであるとは思っていない。一国一城の主として、簡単に命を落とすわけにはいかないという自負があるからである。光秀にはそれがない。否、単純にそれに構わないというだけの話であるのかもしれなかった。
 手甲を付けたままの指で、丹念に鞣された革の上を撫ぜる。するとぞくぞくしたのはどちらもであるようで、視線を合わせれば互いの瞳が同じ色をしていた。
「――趣味が悪いと蘭丸は言いますよ」
だが、同じ色を瞳にうつしておきながら光秀は嘲る様な笑みで、わざとらしくそのようなことを言う。
 政宗は上機嫌に口笛を吹いて、黒の皮紐と白い肌の間へ指をねじ込んだ。
「そりゃ、ガキじゃわからねぇさ」

*光秀の第二衣装はエロとか変態とか命どうでもいいとかそういうのがつまっていると思って…。

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